2013谷川岳衝立岩グリズリー、コンドル

 2013年5月。大西良治、宮城公博パーティーにより、谷川衝立岩正面壁グリズリー5.11dが完登される。 初日は、支点状況の確認や試登を行い、2日目に久しぶりとなるグリズリー再登を果たした。1982年フリー初登されたグリズリーは、その時代の画期的な登攀であったが90年代の再登情報以降、完登した話を聞かない謎めいたルートとなっていた。支点の貧弱さと岩の脆さが強調され、現在では危険過ぎて登攀対象とならないと多くのクライマーに認識されていた事を考えると、彼らのトライは非常に意義深い。
 3日目ダイレクトカンテのフリー化ライン、コンドルをトライするも3P目が厳しく完登ならず。

2013年6月1~2日 大西良治、佐藤裕介
1日目 衝立岩ダイレクトカンテ 「コンドル 5.12b 4P」
 大西にとっては先週に引き続き2週目。前回登りきれなかったコンドルの完登を目標に入山した。一ノ倉沢出合から雪渓を詰め、テールリッジを進む。簡単なトラバースと5級位の1pを終えると長いコーナーの取り付きだ。
2p目:5.11c(体感)佐藤リード。見栄えのするカンテ左の傾斜のあるジェードルがライン。変化に富んだテクニカルな40m。無事OS。
3p目:5.12b(体感)先週トライした大西の宿題ピッチ。傾斜が強く威圧的だ。大西リードで見事RPする。フォローも荷物を腰に付けながら、なんとかノーフォールで登りきった。

4P目:5.10c(体感)大西リード。ホールドがモゲテ1度フォール。取り付きまで下りて、再トライでRPし完登。
 支点の問題が少々あるものの2p目、3P目の内容は素晴らしかった。3P目は、初登時の発表グレードとはかけ離れた内容で、ホールドの脱落によって変化したと思われる。3P目が技術的に難しいが、下記のグリズリーと比べると危険度は少なく取り付きやすい。

2日目 衝立岩グリズリー 5.11d 9P
 先週、大西が完登済みのグリズリーへトライさせてもらう。難しい主要ピッチ2,3,5,7Pを佐藤がリードさせてもらった。
1P目:5級大西。ハングを見上げるビレイ点まで。
2P目:5.11d ボロいけど核心部は素晴らしい内容。最初の10mは、ボロボロフェースを慎重に前進。全部積み木状で落石のビレイヤー直撃とロープ切断に特に気を使った。ハング部分のライン取りとプロテクション設置に時間をかけパンプしながらもOSに成功。ムーブが多彩で素晴らしいピッチであった。小さめのカム使用。ハング付根のアンダーホールドはいつも濡れていそうだ。
3P目:5.11b(体感)こちらは、傾斜なく落ち着いてOS。テクニカルな内容でオモシロイ。
4P目:5.11a(体感)脆くて支点も悪く緊張するピッチ。大西リード。
5P目:5.11b(体感)かなり脆い。カムが有効。
6P目:5級 大西リードで洞窟へ。
7P目:5.11c 洞窟からのハング越え。支点の悪さに加え、ボルダー的でオンサイトしにくかった。極小カムが有効。なんとかOS。このあとは、やさしいクライミングを2Pで北稜~中央稜を下降した。リード&フォローとも一度も落ちることなくクライミングを終えることができた。
 グリズリーは噂通りの支点の貧弱さと脆さだったが、衝立岩のど真中を貫く初登ラインは魅力ある物であった。岩の脆さから、ホールドの変化は避けられないと思うが、概ね初登時のグレードディングから変化はない。腐食の激しい支点を多く使用すると共に、カムも小さなサイズを中心に使用した。
 この歴史あるラインを登り、改めてこのルートの初登者並びに、フリー化に情熱を注いだ先人達のセンスと情熱を感じられて良い経験となった。