瑞牆 十一面岩奥壁ズルムケチムニールートの右にある顕著なクラックラインを再整備しました。
「Joyful moment 」5.9 5Pのトポとルート解説を中心とした紹介です。
小ヤスリ岩からそのラインは一目瞭然です。奥壁のピークに立つ最も合理的なラインとも言えると思います。
2014年の夏に再登しました。開拓記はこちらから
奥壁アプローチ
上記、全景写真のとおり、奥壁は正面壁の右に位置します。
正面壁と奥壁の間、白熊のコルに上がっていくルンゼ(正面壁下降路)を登っていくと目立つケルンが幾つか積んであります(ベルジュエールから5分程)。白いテープも巻いてあるので分かりやすいと思います。奥壁のふちを回り込むようにして踏み跡を辿るとフィックスロープがあります(この手前左側の小さなテラスが「一粒の麦5.10d」取り付き)。フィックスロープを上がると、気持ちの良い広場にでます。目の前にあるワイドクラックから始まるのがズルムケチムニールート。
広場から踏み跡を更に、岩を回り込んだ所が「Joyful moment 」の取り付きとなります。広場から30m位、白いテーピングが木に巻いてある場所が取り付きへの入口です。(正面壁から20分)
1P目:5.9 20m(取り付きは広場から30m程)左上するクラックが見える取付からスタート。
左上クラックをヒールフックとかしながらクライミングっぽい動きで立ち木まで。
空間側に体を出すと動きやすいですが結構、緊張感あります。バランス悪くアップも出来てないこのピッチが一番悪いと私は感じます。
フォローの為にもプロテクションは大目が安心です。
2P目:5.6 15m
フレーク状クラックの取り付きバンドに向かってハイハイ・トラバース。
3P目:5.9 40m
取り付きに錆びたボルト発見。ピッチ上にも2本ほどのボルトがありました。
快適なガバホールドを使って傾斜のあるフレークを登っていきます。
少々、脆い部分には注意。コーナーが途切れた所を左に乗り越しテラスでピッチを切りたかったが、アンカーに使おうとしたクラックが微妙に浮いているのでそのまま、被ったクラック直下ブッシュまでロープを伸ばします。2015年6月追記:3P目コーナーが途切れた所から右へトラバースしフレークを右上して
スラブを登る方が快適でおススメです。少し炊けランナウトするので注意。
4P目:5.8 15m
小ヤスリから見るとこのピッチは結構被っているように思えて懸念していたピッチですが
意外とハングは小さくて問題ありません。
コーナーを使いながらのワイド登り。ワイド的ですが男性は概ねハンドジャム&フットジャムを利かせながら登れます。
ワイドに慣れていないと、奮闘することになり一般的なクライマーにとっての核心ピッチとなるでしょう。ビレイ点は、私はカム#0.4~0.75で作成しました。
5P目:5.7 25m (ズルムケチムニールートと最後は合流します。)
巨岩を縫って、ピークへひと登り。
奥壁のピークは、正面壁と同程度の高さでこの周辺で最も高いピークの一つ。とても気持ちの良い名ピークです。
下降はピークからクライムダウンしてチムニーを登って通過するもよし、チムニーのトンネルをくぐっても、
下降路の踏み後に続く樹林帯に降りられます。
今回、登ったラインは記録は見当たりませんが古いリングボルトが散見されだいぶ以前に登られているルートでありました。新規開拓ルートとはなりませんでしたが、未知のルートに取り付くのはやっぱり、緊張しますね。結果的に既登ラインでしたが、かなり楽しいルートでした。5.9までなのにブッシュや歩きがなく、これ程気持ちの良いピークに立てるルートは貴重だと思います。
使用ギア:カム#5まで1.5セット。
ビレイ点は全て立ち木、またはカムによって作ります。
手で簡単に動く程ではありませんが、大きくブロック状に浮いている部分もあります。
再登にあたっては自己責任で、十分に注意して登攀してください。
ルート名「Joyful moment 」について
瑞牆トポをまとめているN社長からの勧めもあり、再整備したラインに、ルート名をつけることにしました。名無しのルートはどうしても埋もれてしまう運命にあります。これだけ内容のあるルートは、もっと登られるべきと思いました。